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先程まで泣いて、悲しい表情しか見せなかったのにここにきて初めて笑ったのだ。
次第に少女の笑い声も大きくなっていく。
その笑いに対して白髪の少女のほうがやっと言葉が通じていなく、自分が必死に身振り手振りで説明したのがひどく滑稽に見えたのだと理解して少し顔を羞恥の色に染め、次表情は少女と同じように笑っていた。
草木も眠る丑三つ時の密室である土倉に二つの幼い笑い声が響く。
ひとしきり笑った後、また白髪の少女が口を開く。
「やはは、まさか言葉が通じてなかったとは予想外なのさ~」
まだ笑いの余韻が残っているのか、突然現れた割にはとても軽い感じで少女に話しかけた。
とりあえず、と日本語でしっかりと白髪の少女は一息入れ、また口を開く
「んっと、君はなんで泣いているのさ~?」
突然、円陣から現れ、言葉が通じず、身振り手振りで説明したかと思うと、少女は笑いだし、釣られて白髪の少女も笑ったかと思ったら、何事もなかったかのように通じる言葉で話しかけているのだ、
それに対して深く考えないのは若さ故なのか、少女は円陣の中心に突然縛られたことに対しても深く考えることなく今を受け入れた。
深く考えていないのか、警戒する相手ではないと本能的にわかったのかは知れず、少女は聞かれたことに対して答える。
「私、は、姉さまのように勉強も運動もできなくて、それで怒られて、ここに・・・・・・」
まだ幼いためか、要所、要所しかしゃべらないが、すすり泣いている時とは違いしっかりと話していく。
それをうなずきながら真摯に聞く白髪の少女。
少女の悲しみを溶かすように、円陣から漏れ出した優しさと同質の、より濃い優しさでその少女を包み込んでいく。
白髪の少女に思いを全て吐露する少女。
誰かに慰めて欲しかったのではなく、聞いてほしかったのか、すでに少女に涙は見えず、 純粋に白髪の少女との会話をいつしか楽しみ始めていた。
すると、話疲れたのか、緊張感の解放からか、目元がとろんとしてきた、
「ん、そういえばまだおねーさんの自己紹介をしてなかったのさ~」
今更、ともいえる。
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