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「おねーさんの名前はね~、せ――んげ――つ―――、だよって、この言葉は変換できてないのさっ」
また最初のように不完全な聞き取れない言葉が白髪の少女の口から発せられた、先ほどとは違い、日本語との間にあるため、その言葉だけが発音できないのだろう。
しかし、時折日本語で聞こえる部分があった、それを少女は耳で拾い、復唱する。
「せん、げつ?」
自信なさげに白髪の少女に告げる。
「ん~、うん、そうだ私の名前はセンゲツ、うん、フルネームは雨宮繊月でいいのさ~」
うんうんとしきりにうなずきながら自分がその場でつけた名前を呟く。
「ふふっ、雨宮繊月ね、繊月は面白い」
くすりとまた笑う。
それに対して顔を赤くして怒る繊月。
対照的な性格の二人だが、初見でも中がよさそうである。
「それで、あなたの名前はなんなのさ~?」
自分の名前が不完全のまま伝わり、名前が変わったことに笑い終わった少女に聞く。
「私? 私の名前は酸漿、酸漿蓮。」
突然現れた繊月に対しておびえることなく、いや、むしろ理解していないのか、聞かれたことに素直に答える蓮。
「ん、蓮ちゃんね~、これからもよろしく~」
よろしく、と短く酸漿は繊月に返す。
「ん~、なんで私はここに来たのさ~・・・?」
思い出そうと頭をひねっている様子の繊月だがどんなに考えても霧がかかったようにその先まで記憶が追いつかない。
何かにブロックされている
そう直感的に繊月は悟り、思い出せないモノは仕方がないと納得して霧がかかった部分について考えるのをやめた。
「あなたは何者なの?」
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