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『これより"成南高校文化祭"開会式を始めますので、一般の生徒は各自体育館へ集合してください。繰り返します―――』
放送委員のアナウンスが流れると、クラスの皆は作業を止め、廊下へと出ていく。
あたしたちも皆の後に続くように教室を後にした。
「あっ、類!」
隣のクラスから丁度良いタイミングで類が現れたので、あたしは手をブンブン振って呼び止める。
「おはよ、類」
「おはよう、みこ。葛城さんも一緒だったんだね」
「そうだよ~、みこちんと同じクラスなんだもん♪東森君、羨ましいでしょ?」
「ははは……羨ましいけど葛城さんには敵わないよ」
ちぃの攻撃に思い切り顔を引き攣らせる類。
相変わらず、ちぃのことが苦手なんだね……
ケーキバイキングに行ったあの日以来……類の中では、ちぃに対する『苦手意識』が芽生えてしまったようだ。
「ちぃ、あんま類を虐めないで。類が困ってるじゃない」
最終的には、あたしがちぃを止めることになるのがもはやパターン化しつつあった。
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