綿菓子:花火:初恋

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「……花火大会っ?」 「そう。花火大会」 素っ頓狂な声をあげて疑問符を浮かべる私に、目の前の彼は頷く。 当たり前のように頷く彼に、私は首を傾げないわけがなかった。 第一に、私の住んでいるこの街----いや、郊外の市外地と呼ぶべきか----には、花火大会というものが存在しない。 そのため、夏には花火を見に行くために、わざわざ皆最寄の大きな街に出向くほどだ。 花火大会をやるという報せも出ていないし……。 一概の高校生が、そのような情報を簡単に手に入れられるとも思えない。
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