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それから暮れ方。
遊びの余興とはいえ、一応花火大会ということで浴衣に着替えた私は、近くの空き地に来ていた。
手には色とりどりの線香花火と。
手土産の、綿菓子。
「この方が雰囲気出るしね……」
そう自分に言い聞かせながらも、流石にやり過ぎたかなと反省していたら--------、
「来てくれたんだ」
「!!…………あ」
唐突に、低い声が上から降ってきて。
驚いて首をめぐらせれば、そこには彼の顔。
「葉梨の酔狂に付き合ってくれてありがとう」
「……あ、いや……」
そういうつもりで来たわけじゃないんです、と言いかけて、やめた。
何となく。
そんな気がして。
「二人ともー!!花火あげるよー!!」
遠くで葉梨ちゃんの声が聞こえ、私は思考を中断し、そちらを見る。
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