プロローグ

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ある晴れた日、いつもと同じ忙しい朝 「朝ご飯出来たよ」 「早く食べないと遅刻するよ」 台所の片付けをしながら子供達に視線を配る いつもの朝… でも今日だけは少し違う 旦那の反対を押し切って近くのスーパーでパートの仕事をする事にした 4時間のパートだけど久しぶりの仕事に多少ドキドキしながらも胸は躍っていた 「忘れ物ない?」 朝ご飯を食べ終えた子供達の背中に慌てて声をかける 「お母さん 行って来ます」 元気良く玄関の扉を開け小学生の娘と息子が学校へ向かった 「行ってらっしゃい」 そう言うとひとつ深い溜め息を吐いてから台所へ向かう すると旦那がネクタイを直しながらゆっくりと階段を下りて来た 「おはよう…」 チラッと顔を合わせる [今日は不機嫌だ] 心の中でそう思いながら台所へと急ぐ 「おいっ」 低い声で私に声をかけたので、食器を洗い始めた手を止め、後ろを振り向く 「何時から仕事なんだ?」 旦那は表情ひとつ変えず低い声で私に聞いてきた 「12時から」 「家の事疎かにするなよ」 目を細めながらそう言うと旦那は洗面所へと向かった 結婚して10年 旦那と向き合うたびに慣れない空気 一言口から出るたびに不安にかられる様な気持ちが体中を支配し動けなくする 髪を整えた旦那は洗い物を続ける私の後ろ姿に 「今日は早く帰って来る」 と告げ、急いで仕事に出かけた
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