出会い

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裏口の大きな扉をゆっくり押しながら開けると、山積みになったいくつもの段ボールが目に入った 在庫チェックする社員、品出しの準備をするパートさんが私の前をせわしなく通り過ぎる ひと通り辺りを見回し、事務所に向かった 先日面接で一度訪れていた為、事務所の場所はすぐ分かった トントン ドアをノックする 「はぁ~い。どうぞ~」 カチャッ ドアを開けると眼鏡をかけた女の人がこちらを見た 「今日から新しく入った方ですね」 にこやかに迎えてくれたその笑顔にホッと安心感を覚えた お互い自己紹介をした後、店長に挨拶をする 事務の女の人はそのまま私が所属する売り場まで案内してくれた 私が所属するのは青果 山積みとなった段ボールの脇をすり抜けながら裏の狭い廊下を歩いて行く 店内の活気立った声が飛び交うのを聞きながら襟元を正す 前髪を指で直しながら店内の売場へと急いだ 女の人は歩く速さを緩め、振り向きながら 「ここが青果です」 と教えてくれた 「ありがとうございます」 そう言うと、女の人は元来た廊下をまた歩いて行った
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