出会い

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青果の扉の前でもう一度前髪を指で撫でる やや緊張気味の顔を無理やり笑顔にしながら青果の扉に手をかけた 扉を開けると同時に大きな声で言ってみた 「おはようございます」 思った以上に自分の声が作業場に響いた 一瞬みんなの手が止まり注目される 視線が一気に集まったので顔が見る見る赤くなっていくと、1人のパートさんがにこにこしながら近づいて来た 「私は小牛田と言います。宜しくね」 人の良さそうな50歳位の女の人だ 私も慌てて自己紹介する 「私は八ツ橋ミチです」 「私は高橋といいます」 「私は佐々木です」 次々に他のパートさんも挨拶し始めた 2人とも同年代の様で気さくな感じがした 「千葉です」 ぶっきらぼうな言い方で作業場の端に位置する机から1人の男の人が近づいて来た 「主任ですよ」 眼鏡をかけた佐々木さんが教えてくれた 「八ツ橋ミチです。宜しくお願いします」 緊張しながら深く頭を下げると千葉主任は軽く会釈しながらまた机に向かった すると売り場から品出ししていたもう1人の男の人が作業場に戻って来た 50歳代の男の人で私に深く頭を下げた 「笹森です」 「宜しくお願いします」 私も深く頭を下げると 後ろからもう1人作業場へと入って来た 男の人は私に気づかずぶつかりそうになり、それに反応してバランスを崩した私を両手で抱えた 「おっと…ごめん💦」 抱えられた両手により前のめりになった体制が整った 後ろをゆっくり振り向くと背の高い男の人が立っていた
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