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「寒いだろう……?」
清盛の言葉の真意がわからず、常磐は首を少しだけ傾げた。
これから死ぬのに寒さなんか関係あるのだろうか。
「いえ……大丈夫です……」
「……震えている。
奥で暖まるがいい」
あたたかな言葉なんていらない。
いっそ今すぐ此処で斬り棄ててくれればもう悲しくないのに。
清盛の手を叩き、必死の思いで睨む。
罵声が飛び出すかと思ったその厚い唇から紡がれたのは、我が耳を疑うような言葉。
「……子供達も奥にいる」
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