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左京の近く、六波羅(ろくはら)を暫く歩いて行くと、豪奢な屋敷にたどり着いた。
「今若、乙若、わかってるわね?
良い子でご挨拶するのよ」
二人は緊張した面持ちで頷く。
「お父様の事は悔しいけれど、今はお婆様のためにも頭を下げてね。
……ごめんね」
笑顔を取り繕い、頭をさらりと撫でた後、しっかりと前を見据え、屋敷の中へと入っていった。
堂々としていればいい。
私も、あの方も、何も間違ってはいないんだもの。
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