。゚常磐゚。

4/19
前へ
/1576ページ
次へ
一、二歩足を進めると、どこからともなく現れた男が奥の広間に行くよう促した。 指し示された場所に入るといたのは痩せた男。 少し厚めの唇と丸い鼻に不釣り合いなぐらいのぎょろりとした目。 大柄ではないのに威圧感を感じるのはこの目のせいだろうか。 ……見たくもない顔。 軽く咳払いをし、男が喋る。 「……常磐(ときわ)御前だな? 雪道、幼子を連れてご苦労だった」 意外なほどの優しい声音。 どんな厳しい詰問や罵声を浴びせられるかと覚悟していたのに。
/1576ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1149人が本棚に入れています
本棚に追加