リカコ:19歳

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「まぁまぁやったな。あ、歯は当てん様に気をつけろよ。痛いから。 まぁ、店の女の子にコツ聞く事や。 特に上手いんはマリナやから。それじゃ、今日は頑張るんやぞ。」 放心状態の私を気にする風でもなく、 「最初はみんなそうや。頑張れよ。頑張った分、金になるからな。」 と言い残し部屋を出た。 始めにピンサロだと説明しなかったスーツの男に、憎しみが腹の底で煮えたぎっていた。 ガチャ。 ドアが開き、20代後半くらいの女性が入ってきた。 「今日は体験だって?宜しくね。私はマリナ。」 「あっ…、は、はい。」 「まずは名前考えようか。何がいい?」 場違いに明るく、年上らしい上品で優しい声でそう言われ、私の緊張の糸がようやく緩んだ。 名前…。 「私、本名がリカコなんで、リコで、いいです。」 「本名に近い名前だけど大丈夫?やじゃない?」 そう言われたら確かにそうだ。 「あ、じゃあ…、アイにします…。」 テーブルの上に置いてあった雑誌が目に入り、咄嗟にアイにした。 「愛なんて無い」のアイだ。
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