君がいたあの日々

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「グリムジョー…愛してる」 背中に小さく呟いたあいつの声 俺はあの時、照れ臭くて、 あまりにも急だっから 無視して、うっせぇ! って言ったんだ それでもあいつは笑って 「グリムジョー、いつも想ってる」 またクセー言葉を言ったんだ だけど、今思うと 言えば良かったんだ、あの時。 あいつが消えた。 あいつが消えた今、 もう俺の声は届かない 俺の愛なんて届きやしない 「…嘘吐きやがって…」 いつも想ってんなら 今でも想ってんのかよ?俺の事 亡骸も残らなくて、 心も無いくせに …なぁ…答えてくれよ… 「おいグリムジョー、これお前のだろ?」 「…あ?…あ、これ…」 「やっぱりな。こっち来る時、お前、大事そうに持ってたんだよ」 俺が居る場所は あの創られた空間ではない あのオレンジ色の髪をした 死神のガキの家 ウルキオラを殺した…ガキ 渡された物は、あの時 ウルキオラが言ってた"宝箱" あいつ…どんなもんを 宝箱としてたんだ? 不意に頬が緩む カチッと音と共に宝箱を開ける 「…は…?」 宝箱の中は真っ白な空間に 埋め尽くされていた。 え、空っぽ…? んなわけねぇだろ… と思い、手当たり次第漁る すると何かに指が当たった カサ… 紙…? それを取り、広げた  びっくりしたか?  中身は空っぽだという事に  俺の宝…俺の大切なものは  お前と過ごす時間だったんだ 見慣れたあいつの字に、 いつものクセーセリフ  当たり前に隣にお前が居て、  キスをして、抱き合って、  それだけで幸せだった  心が無くても感じられたんだ  "幸せ"を。 俺もだよ…ウルキオラ…
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