366人が本棚に入れています
本棚に追加
――16年前
父さんに連れられて最初に行った場所は、遊園地でも動物園でも無かった。
向かった先は大きなビル。
幼い僕でも、そこが何かの会社だという事はすぐ解った。
僕と父さんはそのビルの中に入り、父さんが受付の人と二言三言話すと、エレベーターに乗った。
そしてある階で止まり、扉が開くと、父さんは何も言わず歩き出した。
僕もその後ろを黙って付いて行く。
迷路のような道をすいすい歩いていき、ふと父さんがある扉の前で足を止めた。
父さんは何も言わずに扉を開ける。
そのまま部屋の中に入っていく父さんに付いて、僕も中に入った。
部屋はある程度の広さで、大きな機械がいたる所に設置されている。
部屋の中に居た、何人かの人が僕と父さんの認め、近寄ってきた。
「ねえ、その子が例の天才少年?」
二十代後半くらいの女性が父さんに話しかけた。
最初のコメントを投稿しよう!