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ああ、今俺お姫様をお城から連れ出した若者みたいな気分……。
悦に浸りながら下を見る。
――教室が二階にあったのを思い出した。
ドンッ!
大きな音を立てて、俺は着地した。
とりあえず女の子を降ろすと、四つん這いになり足をさする。
とても痛い……。
「そこで待っとれよ! 今すぐに捕まえたるわぁ!」
上から聞こえるのは杉田先生の声。
あんまり、のんびりとしてられないみたいだな……。
「さっ、行こう!」
「え……? え……?」
未だに混乱中の女の子の手を引き、俺は走り出した。
走ってる途中にチラと時計を見る。
アイツが帰ってくる時間まで、まだ余裕があるみたいだ。
†
大学の教員用駐車場に停めておいた自分の車に乗り、大学を出る。
もちろん助手席に連れ出した女の子を乗せて、だ。
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