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俺は運転しながら女の子に話し掛けた。
「ごめんね、急に連れ出して。でも、あの時……桜の並木道の坂の所で逢った時から、キミの事が気になってたんだ」
そう、この女の子はあのサークル勧誘の日に逢った女の子だ。
俺はずっとこの女の子が気になっていた。
なぜかと言えば……。
「キミは俺の事、知ってるみたいな事を口走ってたよね? 俺の事を知ってるの?」
――え……? あなたは……
確かにこの女の子は、そう言ったのだ。
女の子は俯きながら言葉を紡ぎだした。
「えっと……、そのですね……」
「あ、先輩だからって、敬語とか使わないでいいよ。堅苦しいの嫌いだし」
俺は女の子の口調に対し、即座に言った。
とは言っても、それでも俺に敬語を使う奴は居るんだけどね……。
女の子は困っているようだったが、やがて口を開いた。
「……田中、健一さんは、大学じゃ結構、有名人だったから……」
あー、なるほど。
結構、大学じゃ無茶してるからなぁ……。
まぁ、アレ関係じゃなくて良かった……。
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