再会 thanks to meet again

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「なんで? 可愛い名前だし、人の名前を聞いて笑うような事、俺はしないよ?」  桜ノ宮さんは今度は目を丸くした。  余程、俺の言葉が意外だったようだ。  俺は桜ノ宮さんの顔を見ながら聞いた。 「自分の名前、嫌いなの?」  桜ノ宮さんは首を横に振り、言う。 「嫌いじゃ、無い……むしろ大好き。でもあまり無い名前だから、笑われたりするのが怖くて……その……」  顔を俯かせて、途切れ途切れに喋る桜ノ宮さん。  俺は少し考え、フッと笑うと言った。 「キミは自分の名前に自身が持てないんだね……。でもさ、俺はキミの名前大好きだから! そうだな……だからって訳じゃないけど、俺は今度からキミの事を姫って呼ぶよ! 姫が自分の名前に自身が持てるように!」  言った後で、決まった……、と一人心の中でガッツポーズをとる。  だけど、予想に反し、姫は―― 「……プッ、フフ………アハハ」  突然、笑い始めた。 「あ、あれ? 何か変な事言ったかな、俺?」  不安になりながら尋ねる。
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