再会 thanks to meet again

11/39
前へ
/313ページ
次へ
 姫は、笑いすぎて少し出てきた涙を、拭いながら言った。 「ち、違うの。その、まさかそんな事を言われるとは思わなかったから……。クサいな、って思ったら、健一君は決まった、って顔してるし……」  未だにクスクスと笑いながら言う姫に、俺は少し安心した。  初めて見たな、姫の笑うところ……。  つられて俺もアハハと笑う。  そこで初めて、姫が俺に話し掛けてきた。 「ねえ、健一君、私達は今どこに向かってるの?」  ん? そういや言ってなかったな。  俺は笑顔のまま姫に答えた。 「空港だよ」  空港? と姫は疑問を声にして表す。  続けて俺は言った。 「そう、友達が久しぶりに日本に帰ってくるんだ」        †  時刻は朝の十時三十五分。  俺は空港の駐車場に車を止め、アイツが姿を現すのを車の横に立ちながら待っていた。 「健一君、友達の乗った飛行機はいつ到着するの?」  俺と同じく、車の横に立ちながら姫が聞いてきた。 「えーと……十時三十分だから、もう来るはずなんだけどね」  携帯で確認しながら答えると、そうなんだ、と呟いて、姫は空港の入り口に目をやる。  俺はふと、姫の顔を見入った。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

366人が本棚に入れています
本棚に追加