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俺は即座にそいつを見上げ、罵詈雑言を――
「おい、てめぇ!」
「わっ、カスが喋った!」
「酷い!」
浴びせられなかった。
「いくら何でもカスは酷いと思いまーす!」
俺が右手を上げながら抗議をすると……。
「チッ、じゃあもっと人間らしくしろよ。ああ、すまん無理だな」
「即決で人間否定?!」
同じ種である事を否定された。
……まぁそれらはともかくとして。
「相変らずだな……」
俺に対するツッコミの厳しさや、俺に対する扱いの悪さ、俺に対する暴行の加減の少なさ……。
涙が出そうになりながら俺は姫とそいつに近付いた。
そして、久しぶりに見るそいつの顔を見ながら――
「おかえり、絵川功成」
「ああ、ただいま。田中健一」
再会の言葉を交わした。
†
功成を車に乗せ、空港を出て、高速に入った。
ほんの十分ほど車を走らせたところで、後部座席に座っている功成が不意に聞いてくる。
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