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「ちょっと、健一先輩……。テニスサークルの横で変な事しないで下さいよ」
名前を呼ばれて振り向くと、迷惑そうな顔をした男が立っていた。
彼は確か二年生の――
「ハハッ、そんな細かい事言うなよ、伊藤」
「佐藤です」
本当に細かい奴だ……。
「そんなんじゃあモテないぜ?」
あっはっはっは、と笑いながら言ってやる。
佐藤君は半眼になりながら反論してきた。
「テニスサークルにモテる人が多いからその横で彼女募集をしていれば上手くいくんじゃないか、とか考えてそうな人に言われたくないです」
な、なんて鋭い奴だ!
俺は激しく狼狽した。
すると佐藤君が、何かを思い出したかのような感じで言葉を付け足してくる。
「そういえば田中先輩、杉田先生が田中先輩を探していましたよ」
俺は、ほへ? と間抜けな声を出して佐藤君を見た。
杉田先生と言えば……。
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