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「外国語の先生……あー、そういえば」
テストがどうとかで、なんか呼ばれてたような――
「思い出したかな、田中健一君?」
唐突に後ろから名前を呼ばれた。
その声は……!
「杉田先生ですか。ああ、今日もフサフサデスネ」
俺の視線の先には五十代後半の初老のオヤヂさん(杉田先生)が立っている。
杉田先生は太陽の光に当たってピカッと光る頭を、ペタペタと触りながら言った。
「フサフサと言った辺りだけ棒読みだったとか、少しずつワシから遠ざかって行っているとか言いたい事はたくさんがあるがな……」
俺は後ろ歩きの速度を上げながら言った。
「そうですか、たくさんあるんですか。おや杉田先生、少しずつ小さくなっていませんか?」
杉田先生はダンディズムに笑いながら俺を見据える。
「そうかじゃあ小さくならない様にしっかりと密着してやろう」
そしてツカツカと近付いてきた。
くっ、流石は杉田先生だ!
俺は今度は杉田先生に背中を向けて全速力で走り出した。
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