8人が本棚に入れています
本棚に追加
手元明かりにぼんやり照らされた卓に向かい、先ずは音の流れを確認。
楽器からプロセ。(プロセミアムスピーカー、ステージの上客席の天井に据え付けられているモノ)
OK小さく呟く
楽器からサイド。(両サイドスピーカー)
コレも良し。
こんな具合にサクサク確認しながら、何故ここに居るのか考えてみる。
よそう。手が遅くなる。
残り後2分。
兎に角、本番までに何とかしなければ。
心臓が金属になったみたいに鼓動が痛い。
インカムから聞こえる会話は、早速打ち上げの出席確認。強制だけど。
空返事をしながら、手と頭をフル稼働し、祈る気持ちで全てのチェックを終了。
は …ぁ。
間に合った
「OKで~す」
インカムのマイクに話しかけた
「え?今 何がOK?」
あ。向こうはこの状況知らないから。
「あ。いや、独り言でした。」
会話に混ざれた事で、さっき迄の嫌な緊張感から解放された。
安心して本番が迎えられる。
インカムから静かで聞き取りやすい声が聞こえた。本番の合図だ。
客電(客席明かり)がすっかり落ちて、非常灯の緑がぼぅっと浮き上がった。
最初のコメントを投稿しよう!