バックステージ

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手元明かりにぼんやり照らされた卓に向かい、先ずは音の流れを確認。 楽器からプロセ。(プロセミアムスピーカー、ステージの上客席の天井に据え付けられているモノ) OK小さく呟く 楽器からサイド。(両サイドスピーカー) コレも良し。 こんな具合にサクサク確認しながら、何故ここに居るのか考えてみる。 よそう。手が遅くなる。 残り後2分。 兎に角、本番までに何とかしなければ。 心臓が金属になったみたいに鼓動が痛い。 インカムから聞こえる会話は、早速打ち上げの出席確認。強制だけど。 空返事をしながら、手と頭をフル稼働し、祈る気持ちで全てのチェックを終了。 は   …ぁ。 間に合った 「OKで~す」 インカムのマイクに話しかけた 「え?今 何がOK?」 あ。向こうはこの状況知らないから。 「あ。いや、独り言でした。」 会話に混ざれた事で、さっき迄の嫌な緊張感から解放された。 安心して本番が迎えられる。 インカムから静かで聞き取りやすい声が聞こえた。本番の合図だ。 客電(客席明かり)がすっかり落ちて、非常灯の緑がぼぅっと浮き上がった。
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