月下の雫

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──深夜 正確には何時ともわからない時間。草木も眠り、静寂が辺りを支配し、川には月の光が反射する。 本来ならそうである場所は今は違っていた。 ドォォォォン! 凄まじい音をたてて地面がえぐれる。砂煙が収まると、そこにはニつの人影。大柄な男と高校生くらいの少女。彼らは互いの次の動きを図っているようで、ピクリとも動かない。 「ここまで逃げれたことは褒めてやるよ。だが諦めな。嬢ちゃんみたいな華奢な体で俺に適うはずがねぇ」 嬢ちゃんと言われた少女は男の言葉など意に介するようすもない。 「聞く耳持たずかよ。つまらねぇ」 そう言って男は少女に近づき始めた。
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