40人が本棚に入れています
本棚に追加
──深夜
正確には何時ともわからない時間。草木も眠り、静寂が辺りを支配し、川には月の光が反射する。
本来ならそうである場所は今は違っていた。
ドォォォォン!
凄まじい音をたてて地面がえぐれる。砂煙が収まると、そこにはニつの人影。大柄な男と高校生くらいの少女。彼らは互いの次の動きを図っているようで、ピクリとも動かない。
「ここまで逃げれたことは褒めてやるよ。だが諦めな。嬢ちゃんみたいな華奢な体で俺に適うはずがねぇ」
嬢ちゃんと言われた少女は男の言葉など意に介するようすもない。
「聞く耳持たずかよ。つまらねぇ」
そう言って男は少女に近づき始めた。
最初のコメントを投稿しよう!