小さな夏の思い出

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キイィィィ…… ザアァァァ…… タイヤの鳴く音とアスファルトを滑らせる音。 たくさんのギャラリー達の歓声と共に、今日も快調にWRXが峠の夜に響いていた。 「さすが皇帝っ!」 「今日のヒムクライムも好調でしたね!春さん!」 年齢層の関係のない仲間達が、俺の勝利を祝おうと興奮気味に車を取り囲む。 俺自身も高ぶる高揚感を感じていたが、そっとドアを開けると照れ隠しするかのように煙草に火をつけた。 煙を吐きながら夜空を見上げると、一面に広がる星がやけに眩しく感じられた。
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