33人が本棚に入れています
本棚に追加
(戦う。僕達の選択肢は戦って傷つけた者を許さない。そして…確実に敵をしとめる。それしか選択肢がないのさ。それが…定め)
「やめ…ろ…。」
だんだんサトシの意識が薄れていく。が、気にせず語り続ける。
(僕が誰か?今まで気がつかなかったのかい?僕は今日、君に初めて話しかけたんだ。これからよろしく頼むよ。僕は戦うために生まれてきたんだ。さぁ、そろそろ交代の時間だ…。後は僕に任せろ。相棒。)
「黙れ!俺の中に入ってくるな!やめろ!やめろやめろやめろ!」
洞窟の中でそう叫ぶとだんだん意識が薄れていく。サトシの頭に激痛が走る。そして、あまりの痛さにうわぁぁぁぁと言う悲鳴をあげ、地面に倒れる。
「おい!サトシ!どうしたんだよ!」
「サトシ!大丈夫?」
「サトシさん?大丈夫?」
自分たちで大体の応急処置を終えたみんなが慌てて駆け寄る。が、サトシのまわりに大きな威圧感と殺気を感じ、近づけなかった。
「……………。」
何も言わずに剣を持ち、敵に向かって突っ込んでいく。
「おい!大丈夫なのかよ!」
然が止めようとするが、サトシは敵の方に走っていき、残りの4匹を一気にしとめる。
「す、すごい…。何の技も使ってないのに…。私達でも苦戦する熊をあっさりと…。」
驚きを隠せないメドリがつい言葉を出すが少し言葉に戸惑う。熊を倒すと、サトシが然達の方を向く。そして、ゆっくりと目を開けるが、サトシの目には瞳がなく、誰かに操られているような目をしていた。今のサトシは誰にも止めることができない殺戮兵器みたいなものだった。
「サト…シ?」
異変に気がついたクリスが剣をもちこちらに向かってくるサトシを見ると、威圧感と殺気で身震いをしてしまう。然達はただ唖然とサトシを見ているだけだった。が、サトシは然達に向かって剣を構える。
「ど、どういうことだ?」
「まさか……俺達がわからないのか……?」
ロムは冷静にそういうが、然は少し焦りながらサトシにやめろ!と呼びかけるが殺戮兵器と化したサトシには聞こえておらず、そのまま然達に攻撃しようと剣を然達に向ける。
「マジかよ…。サトシ、やめろ!俺達がわからないのか?」
「サトシさん!お願い!やめて!」
「どうしたのよサトシ!」
必死に然達が叫ぶが先ほどと同じくサトシには全く聞こえておらず、攻撃しようと剣を大きく振り下ろそうとした時だった。
最初のコメントを投稿しよう!