33人が本棚に入れています
本棚に追加
居残りだけは勘弁だぜと言いながら走って洞窟の置くまで向かう。洞窟の奥へ向かって走っている最中、何匹かの熊や狼に襲われたが、まだ最深部にはついておらず、最深部の前の強敵に苦戦していた。
「くそっ、なんなんだよこいつは!」
ライオンと熊が合体したような敵だった。しかも、かなり強く、もう5分くらいは戦闘していた。然は二本の剣を上手く操り、敵を倒そうとしていたが、たまにぼやいていた。
(落ち着け。落ち着けよ。またさっきの奴が出てこないように何も考えずに戦おう)
心の中でそう念じながら敵と向き合うが、先ほど出てきたもう一人の自分を想像すると、また仲間を傷つけてしまうのではないかと心配になり、手が震えてしまう。その震えを見たクリスが心配になり、サトシに声をかける。
「だ、大丈夫?震えてるじゃない!」
「あ、ああ。さっきのこと考えてたんだ。」
さっき自分の力を制御できなくなったこと…。それを自分の力で止められないことを考えると、戦うのが少し怖くなるが、あえてそのことは伝えないでいる。
(大丈夫…。大丈夫だ…)
何度も自分にそう言い聞かせる。その時だった。サトシが戦うと決心した時、敵がサトシの左腕に噛み付いたと同時に鈍い音がし、思わず剣を落としてしまう。
「ああぁぁぁ。」
(しまった…!油断していた…)
サトシの悲痛の叫びが洞窟に響き渡る。大量に血が出ている自分の左腕を押さえながら逃げようとするが、敵に先回りされ、逃げれない状態になる。が、然が囮になってくれ、なんとか助かったが、血が止まらず、左腕も動かない。壁にもたれると息を切らしながら自分の左腕を押さえる。それを見たメドリたちが急いでサトシの元 へ駆け寄る。
「ち、ちょっと!大丈夫?」
「これで血を止めて!」
ロムだけは何も言わずにただサトシの左腕を見つめている。メドリとクリスがサトシの左腕を応急処置している間に、然がボロボロになりながらもなんとか敵を倒し、剣を鞘に納めると急いでサトシの元へ駆け寄る。
「おい!大丈夫か?」
最初のコメントを投稿しよう!