33人が本棚に入れています
本棚に追加
サトシの左腕の包帯をゆっくりとると、血だらけで腕が見えないが、青くなっているのがわかりすぐに折れていると判断する。
「まずいな…。このままじゃあ、戦えない。」
深刻な顔をしながら然が言うと、少しぐったりしたサトシが息を切らしながら途切れ途切れで言う。
「俺は…大丈夫…。先へ…進もう…。」
そう言いながら左腕を押さえ、立ち上がるが左腕に激痛が走り、うっと低い声でいうと、地面にうずくまる。
「大丈夫じゃないだろ!サトシ、お前は俺が背負って行く。」
そういい、サトシの前でしゃがみこむが、それを拒否し歩いて行くというと、壁を利用して歩き始める。
「なんだよ!それは俺達が信用できないってことか?」
然は地団駄を踏み怒りながらそういうが、サトシは息を荒くしながら言い返す。
「違うよ…。奥の戦い…多分…俺は参加できないと思うから…。然に負担をかけたくなかったんだよ…。」
「サトシ…。そんなことまで考えてたのか…。」
自分はサトシが信用していなかったのかと思ったと言うと頭を下げて謝る。が、謝ってしばらくすると、サトシの出血がさらにひどくなり急いで奥へ向かうことに決める。
「いいか。これ以上サトシの出血がひどくなったらサトシが持たない!俺が敵を倒すから皆はサトシを見ててくれ!」
そういい、然は奥へ走って行く。それを見たサトシはメドリたちに先に進んでくれと頼む。
「どうして?一人になったら自分を護れないよ!」
「信じてるんだ…。みんなが倒してくれるのを…。」
サトシのその言葉にメドリ達はありがとうと微笑み、すぐに帰ってくるからと言い然の後を追うように洞窟の奥へと駆けて行った。
「はぁ…、はぁ…。今襲われたら…。死ぬだろうな…。」
そんなことを口にしながらもゆっくりと奥へ進んで行く。奥へ着くと、すでに然達が戦っていた。それを見守ることしかできないサトシ。いざとなったら…そんなことを考えていたが、腕が折れている今、できることは見守ることだけ。それがサトシにとってとても悔しいことだった。最深部の敵は人型だった。やはり最深部の敵は 強く、苦戦しているが然が仕方ないと呟くと剣を二本、クロスするように構え、技を発動させる。
「破龍双!」
そう叫ぶとクロスした剣から複数の剣圧が敵を襲う。敵はその場に倒れるが、まだ完全には死んでないようで止めを刺そうと然がもう一発破龍双を発動する。
「やったか?」
最初のコメントを投稿しよう!