第5章 戦場で生まれ育った者

2/5
前へ
/347ページ
次へ
血の海…見渡す限りの死体の山…。4年前、この森では戦争があった。軍と反乱軍の戦いだった。両軍ともかなりの死者が出た。勢力は軍25000人、反乱軍たったの6000人。この戦い、勝ったのは……反乱軍だった。一人の戦士の誕生が…この戦争の始まりだった…。 4年前のある森の中………5時間前 「お~い!クロード!そっちの準備はできたか?」 「もちろんだ。」 テントの外にいる男に返事をするとそのまま外へ出、もちろんだと答える。…クロードと呼ばれる一人の少年…。この戦争はこの少年から始まった。 「おいおい、しっかりしてくれよ!この軍のリーダーはあんたなんだからな!」 (テンションが高い奴は苦手なんだがな…) 元気がありすぎるのか、一人の男は少し大きな声でクロードの肩を叩きながら言う。 「あ、ああ。絶対に勝つぞ。この戦い…。」 苦笑いしながらも剣を肩に担ぎ行くぞとみんなに叫ぶとおう!と返事が返ってくる。森の中、川や山道などを歩いて抜けながら、今回の作戦の説明を歩きながらみんなにする。 「えー、今回の作戦は相手が寝ている最中に敵陣に忍び込み、奇襲をかけ敵陣の長を倒す。それが今回のミッションだ。」 説明が終わると、みんなはクロードが決めた班に別れ、それぞれの配置に向かう。クロードの班は森の中にある敵陣の監視兵を倒し、中にいる敵を全員倒し幹部を引きずり出すこと。それがクロード班のミッションだった。 「そうだ!今日お前の誕生日だったよな?」 先ほどの男がクロードに言うと何歳になったんだよと聞かれ、別に何歳でも良いだろと答えたがしつこく聞いてくるので仕方なく答えることにする。 「15だ。今日で15になった。」 「15!若いな~お前。俺なんて22だぜ!15でここまでの戦闘技術を持ってるんだ。誰に教わったが知らないが相当の腕前なんだろうな。お前の先生は!」 15と聞くと歩きながら高らかに笑い、お前の先生は誰なんだよと今度は先ほどとは違うことをしつこく聞かれ。仕方なくこれも答えることにする。 「俺に戦闘技術の全てを教えてくれたのは…父さんだ。」 「父さん?父さんの名前は…?」 父の名前…。クロードはコードネーム。本名じゃない。本名は両親からも聞いておらず自分の名前すらわからない状態だった。男の問いにクロードは静かに首を横に振る。 「ええ!知らないってどういう意味だよ!」
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加