33人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は父さんや母さんに名前を聞いてないからな。ただ、小さいころから父さんのコードネームで呼ばれていた。」
父のコードネーム…デスタ・クロード。デスタはこの世界で言うと最強の戦士という意味…。クロードは父と母に育てられ、ある事情のために、名前は教えず、ただクロードと呼んでいた。クロードは自分の事をアナザー・クロード(もう一人のクロード)と呼んでいる。反乱軍になる前は父や母と同じ軍にいた。その時は父に似ている。戦い方まで似ていると言われたために付けた名前だった。
「じゃあ、お前の名前は…クロード?」
「そういうことになるな。」
クロードの答えに少し首をかしげ、おかしくないか?というと、何が?という顔をしているクロードに両親のことをいう。
「だって、お前の両親は軍の幹部より上の身分なんだろ?お偉いさんでいてとても強いわけだ。そんな人相手に、お前は戦えるのか?」
その問いにクロードは普通の表情で答える。
「その時は…その時だ。でも、父さんや母さんは俺が反乱軍のリーダーだと言う事は知っている。」
「お前…自分の両親を殺すってのか?自分をココまで育ててくれた両親を…?」
その問いには答えず、無視するようにどこまでも続く森の中を歩いているだけで話を変えるように男に言う。
「そうだ、言い忘れていた。今日からお前のコードネームはRAI(ライ)だ。」
「そうか。わかった!…て、ライって俺の本名なんだけど…。」
それを聞いたクロードは少しビックリしたが、何事もなかったかのようにただ前を向いて歩き出す。
「無視かよ!まぁいいけど…。」
そう言い、ライも前を向いてどこまでも続く森の中を歩く。…しばらく歩くと、歩き飽きたのかライがぼや出す。
「クロード~、何時になったら着くんだよ!道間違えたんじゃないだろうな?」
「こっちの道で間違いないはずだ。もう少しだと思うからぼやくな。」
そう言われるとはいはいとやる気のない返事で答えると、何かを思い出したかのようにクロードに聞く。
「それにしても…、なんで奴等はこんな森の中に拠点を移したんでしょうね。」
さぁなとクロードが答えると、いきなりクロードの携帯に連絡が入る。
「クロード、大変だ!俺達の動きが敵に…。」
「おい!どうした!応答しろ!おい!」
言い終わる前に言葉が途切れ、途中が聞こえなくなってしまった。必死に呼びかけるが相手の応答はない。
最初のコメントを投稿しよう!