第6章 目覚め

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広い病院…その病院の個室のベッドの上で、サトシは眠っていた。左腕の出血は止まっているが、青い痣は残っている。 「う…うん?」 病室のベッドの上で寝ていたサトシが目を覚ますとここはどこだ?とあたりをキョロキョロ見渡すと自分が今寝ているベッドと近くにあった点滴で病院だとわかった。 「お!目が覚めたみたいですね。」 狭い個室の中にいた医者…と言っても15歳くらいの白衣を着た男がサトシに話しかけてきた。 「あんたは…?」 近づいてきた男に問うと、男は薄赤色をした髪を近くで開いていた窓の風で髪がなびき、良い風ですねと微笑んだ後、サトシに自己紹介をする。 「おっと、申し遅れました。私は…イラム…変な名前ですが覚えていただけるとありがたいです。」 イラムは笑顔でそういうが、自分の名前を言うところは何故か少し憎しみのような物を感じたが、気にせずに何故ここにいるのかなど聞きたいことは山ほどある中、聞きたいことだけに絞り、質問することにした。 「えっと…まず、ここは…?」 「ここは、私の家です。父が医者で母が看護師…そして私は、医者になることが夢です。」 笑顔で答えられるが、ここはと聞いただけでそれだけの答えが返ってくるとは思ってなく、父母はついでと言う事にし、次の質問をする。 「腕は折れてるんでしょうか?」 その問いにイラムはカルテを見ながら正確に答えてくれた。 「ええ。あなたの腕はかなり力強く噛まれた…というより、噛み砕かれたと言った方が近いですね。まぁ、ライオンのような敵だったらしいですからね。折れるに決まってます。それに、あなたの腕が治るのにかなりの時間がかかります。」 カルテを見ながら言い終わると、こちらを向き、腕を見せてくれと言われたので痛いが、我慢しつつも左腕を見せる。 「痣はおそらく1ヶ月くらいで治るでしょうね。ですが、骨にかなりの時間がかかります。」 そういうと、忘れてたと言わんばかりの表情で慌てて個室のドアを開け、誰かに言う。 「みなさん!サトシさんが目覚めましたよ!」 その一言を聞くと、待ってました!と言わんばかりの勢いで然達が入ってくる。 「も、もう大丈夫なのか?」 「大丈夫?痛くない?」 「死なないよね?死なないよね?サトシさん?」 みんなが一斉に声をかけてき、サトシは少し戸惑ったが冷静に返答した。
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