第6章 目覚め

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「大丈夫だよ。治るのには時間がかかるけど…痛いけどね…。それに、まだこんなところで死ねないよ!」 笑顔でそう言うとみんな嬉しいのか一斉にサトシによかった!と言いながら抱きつく。ロムはフッと近くで笑みを受けベているだけだった。 「ち、ちょっと待て…!い、痛い…!」 サトシが苦しそうにそういうと、慌ててサトシから離れ、ほとんど同じタイミングで謝る。 「盛り上がってる中、申し訳ないのですが…、あなたたちに頼みがあるのですが…。」 イラムが意地悪そうに言うが、顔は真剣だった。頼みって?とサトシが聞くと、イラムはある装置のような物を指差した後、サトシの問いに答えた。 「私は今、父と母に内緒である装置を作っています。この装置は、あなた達に役立つ物です。」 名前やどんな装置かなど教えてくれず、遠まわしにそう言うと、然がどんな装置なんだよ?とイラムに聞いた。 「今は…まだお答えできません。完成したら真っ先にサトシに試したいのですが…。」 サトシを見ながらそういうと、俺?と首を傾げながらイラムに言うと、そうです。と普通の答えが返ってくる。 「俺の…何を調べるんだ?」 自分に思い当たることが無いためか、思わずそんなことを聞いてしまう。が、その問いにイラムは静かに答える。 「良いでしょう…お教えいたしましょう…。その代わり、逃げないでくださいね?」 イラムの真剣な表情に少し戸惑うがわかったと返事すると、イラムは何の装置を作るか答えてくれた。 「私は…あなたの“心”が見たいんです。ずっと気になっていましたからね…。」 これ以上はお答えできません。機密事項ですと少し暗い顔で言うと近くにあった装置の設計図のような物を取り出し、然に言う。 「先程の頼みなのですが…、これが必要何です。これを…“精彩の森”にとりに行ってほしいのです。数は…5つです。」 頼めますか?と聞くと任せとけって!と然が元気よく言い、サトシを起こそうとしたが、イラムに止められる。 「サトシを連れて行ってはダメです。再びケガをすれば今度は命が無いかもしれませんよ!」 脅すように言うが、事実のことで、最初は然達が何か言い返そうとしたが、事実だと心に受け止め、仕方なくサトシをイラムの病院に置いて行く事にする。 「必ず戻ってくるから、それまで待っててくれよな!」
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