第7章 交錯する思い

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そう言いながら草むらから男と女が二人一緒に出てき、クロードの後ろに現れる。誰だ?と剣を構え振り返る。振り返った先に見えたのは…父と母だった。 「父さん!母さん!」 嬉そうにクロードが父と母に歩み寄る。父の武器は斧に近い剣、母の武器は弓、銃。二人はクロードを攻撃する気は無いようで、武器を構えずクロードに近づくが、どこか…というより、誰かを警戒しているようだった。 「久しぶりだな。クロード!」 「久しぶりですね。クロード。」 嬉しそうに言う父と母の姿を見ると少し安心するが、近くで気を失っているライを見ると表情を変え、父と母に問う。 「ライを傷つけたのは父さんですか?」 表情を変えたクロードを見ると、本気とわかったのか、クロードの父も表情を変えながらクロードに答える。 「…そうだ。私だ。」 答えに少し困っているようだったが、父は嘘をつかないとクロードが一番よく知っているため、その答えを素直に受け取る。 「何故です!反乱軍とわかっていたのなら…!」 父に叫ぶように言う。その声には少し怒りが感じられた。父や母に怒りの感情を出すのは初めてで、クロードもその怒りをどう向けたら良いのかわからず、途中で言葉を失う。そんなクロードを見た父が静かにクロードに言う。 「こいつはライと言ったな?こいつの本名は“雷 草月”(らい そうげつ)だ。何故私が敵である者の名前を…本名を知っているかわかるか?」 ライの本名を知ったクロードは本当にライと言う名前だったので少し驚いたが父の問いにクロードは首を横に振る。 「それは、こいつが私達の軍から送られたスパイだからだ。」 父の一言にクロードは少し放心状態になる。が、すぐに我に返り、ライのことを考える。 (ライが…スパイ?でも…でもライは…俺達と共に戦ってくれた…。あれは全部芝居だったのか?) そんあことを考えていると、父がいきなり誰かに向かって言う。 「気がついているのだろう?盗み聞きなどするものではないぞ?」 その言葉は…ライに向けられた物だった。父の言葉を聴くとライはハハハッと笑い、何時から気づいた?と立ち上がりなが らクロードの父に聞く。 「お前が私の名を呼んで気絶した時からだ。」 ライと父の会話についていけないクロードはどういうことだ?という顔をしながら父を見ると父はライを警戒しながらクロードに言う。
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