第7章 交錯する思い

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「どういうことだ…?」 何がなんなのか全くわからないクロードは母の元にも駆け寄る。 「母さん…。」 ライは確かに父にしか攻撃をしていないはずだ。なのに何故母も攻撃を受けているのか…。不思議で不思議で仕方が無かった。その理由を聞こうとライを警戒しながら、母に聞いた。 「どうして母さんが…!」 その質問に母は静かに答えてくれた。 「あなたは…この世界の結婚の制度を…知っていますね?」 この世界の結婚の制度…この世界では12歳~結婚できる決まりになっている。そして、結婚する際、特殊な指輪が渡される。それは、永遠の愛を誓う指輪。その指輪には、三つの光がある。三つの光は誓いの光…つまり、指輪をはめる前に3つの誓いをしてからはめる。その誓いを破れば、光は1つずつ消えていく。簡単に説明すると 、絶対に浮気しないと言いつつも、浮気をすると、光が一つ消える。三つの光が全て消えたら、その人達はもう二度と会えなくなってしまう。そして指輪は一回つけると光が消えるまで外れない…。クロードの父と母の指輪は三つ、しっかりと輝いていた。 「私達の誓いは…、誰よりもその人を愛すること…。」 父が母に腹部を押さえながらだが歩み寄り、二つ目と三つ目の誓いを言う。 「何時、どんな時でも二人で困難を乗り越える…。そして最後は…痛み分け。」 「痛み分け…。」 父と母の最後の誓いを聞くと、思わず口にしてしまう。 「そうだ…。私達はどちらかが傷つけば両方傷つく…。それが痛み分け…。」 「どうしてそんな誓いを…!」 何故痛み分けの誓いを立てたのか…それは… 「それこそが…愛だからだ。」 最後に、父が格好良く言うが、それを聞いていたライが隠し持っていたもう一本の短剣で再びクロードの父の腹部に短剣を突き刺す。 「くだらない愛だ…。そんなもの、ただの…。」 クロードの父と母は二本の剣で腹部を刺されているため、二人とも地面に仰向けに倒れている。ライが何かを言いかけたとき、突き刺す瞬間を見たクロードは怒りと憎しみの感情が高まり、ライの腹部に同じように剣を突き刺す。続きを聞く前にライが口から血を流しながら倒れる。 (背後から刺したんだ…運がよければ生きていられる) そんなことを思っていたが、どうやらライの息はないらしく、息が無いとわかったクロードはライの腹部から剣を抜く。と同時に、返り血を浴び、そのまま腹部の血が地面に広がる。
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