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「良くやった…それでこそ…我が息子だ…。」
父と母にはもうほとんど力が無く、残っているのはしゃべるのでやっとくらいの力だった。
「父さん…母さん…ゴメン…俺が…俺があの時迷わずライを殺していたら…。」
泣きながら言うクロードを見た父はクロードの頭を撫でながら言う。
「殺すなどという事は…簡単に決めれることじゃない…余程の勇気がいるものだ…。お前は私達に剣を刺された時…迷わずライを刺した…。それも…勇気の一つではないのか?」
「…俺が…母さんと父さんを殺したんだ…。」
クロードの言葉に、父と母は驚く。俺が殺した…そう述べた後、しばらくしてからたくさんの雨が降ってくる
「違う…。お前が殺したのではない…。」
「俺が…俺が殺したんだ!あの時…迷っていなかったら…父さんと母さんは死ななかったんだ!死なずに済んだんだ!」
そう叫んだ後、俯き、泣きながら、言う。
「どうして…、どうしてこんなことにならなくちゃいけないんだ!」
くそッと地面を思いっきり殴るクロードを見た父はそう思い詰めるなとクロードに言うと、クロードを自分の方に引き寄せる。
「私の“夢”を…お前は知っているか?」
何を今更と言うような顔をしながら父を見るが、わからなくて当然だ。素直にわからないと答えると父は優しく微笑んでからクロードに言う。
「私は…、一度でいいから本気のお前と…戦いたかった…。それが私の…小さな夢だった…。」
そこまで言うと、父の目に涙が浮かび、父の顔を流れる。
「だが…その夢も…叶わぬまま…尽きてしまうのだな…。」
空を見、泣きながら言う父を見るが、何も言えない自分がいる。そんな自分にクロードは腹を立てていた。小さいころから伝えたいことがあった。それは…戦場で生まれ育ったが、自分をここまで強くしてくれたこと、そして、誰よりも自分を思ってくれていたこと…最後まで心配かけてゴメン…そう伝えたかったが言葉にならず、 ただ泣いているだけだった。泣いているクロードを見た母が、父と同じく、優しく微笑みながらクロードに言う。
「クロード…、私達が死んだからと言って…後を追うようなことは…絶対にしないでください…。この後を生きられなかった…私達の分まで…生き延びてください…そして…彼女を…必ず…。」
母の言葉はそこで途切れ、息を引き取った。
「母さん…?母さん!」
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