第2章 妖霊界

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「妖霊界は現世(日本)の裏側に存在するって聞いたけど…。本当かどうかは知らないわ。でも、ここが地球だってことは確かよ。」 その話を聞きながら、体の半分が布団に隠れている状態のままサトシは思った。 (妖精と精霊が住む世界…?日本の裏側…?そんなの、信じられるはずがないじゃないか!) このころのサトシは、いじめの影響で人が信じられなくなっていた。信頼していた友に…、唯一信じていた人に裏切られたからだった。 サトシは、メドリの話を間に受けず自分が死んで、ここは天国だと言い聞かした。が、それは完全な思い込みではなかった。再びメドリの説明を聞く。 「そうそう!さっき私が喜んでたのはあなたが1000万人に1人だから!」 その言葉に、サトシは驚いた。1000万人に1人…ということはサトシは選ばれた人間ということになる。 「1000万人に1人って…どういうこと?」 少し、胸に期待を抱きながら恐る恐るメドリに聞いた。 「現世の人の中で1000万人に1人って意味だけど…?」 サトシの質問にメドリはあっさり答えてくれたが、それは確信な物ではなかった。なぜなら、この世界に来れるのは現世で1人だけ。つまりサトシのみということになる。サトシが妖霊界、もしくわ現世と呼ばれる場所で死ぬと再び次の人間が現世から妖霊界に送られる。だが、送られる人物は決まっていない…“ある点を除いて” 。そういう点ではサトシは選ばれた人物なのかもしれない。現世から来る人間は、この世界では珍しい人ということで、一番最初に会った人は物凄い幸運と物凄い幸せが手に入ると言われている。それが事実なのかどうかはわからない…。 「少し、気になることがあるんだけど…、良いかな?」 メドリが何?と言う声と共に暖炉の火がパチッと弾ける。 「外に…出てみたいんだけど…。」 そう言った時、部屋の近くにあった柱に誰かの人影を発見したがサトシは気づいていなかった。 「良いわよ!」 笑顔でサトシに言うと、サトシの布団をめくり、立たしてあげる。 「あ、ありがとう…。」 いきなりのことだったのでサトシは顔を少し赤くする。その後、外に家の外に出てみる。サトシが今居る家はとても大きな家…というより城だった。3階建てで、野球場が100個ぐらい入りそうなほど大きくて広い家だった。 「すごい…。こんな家…初めて見た。」 感動のあまり、サトシはそれぐらいしか声が出なかった。
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