第2章 妖霊界

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家だけでなく、いろんなところを見渡す。現世と言われる世界とは全く違う。車は走ってない。バイクもない自転車もない。信号さえもない。現世の世界には道路があるが、妖霊界に道路というものは存在せず、ただひたすら、芝生や荒地が続いているだけであった。その中 に家が立ち並んでいる。サトシが今いる家を中心にして…。変わってると言ったら空も変わっている。空は暁色に染まっており、雲ひとつない。何時間も見つめれるほど綺麗な空だった。が、しかしその空も元の青い空に戻ることはない。なぜならこの世界は…、“ある者”によって“時を止められた世界”なのだから…。この世界 にカレンダーはある。だが時計はない…。この世界の人は一回寝るとカレンダーに印をつける。それが週間なのだ。だからこの世界の人達は必ずと言っても良いほど昼寝をしない。曜日がわからなくなるからである。 サトシが外にいる間、家の中ではメドリの他にもう一人居た。サトシにばれないように気配を隠して。 「彼は…、心を閉ざしているようですね。」 「美月さん!いらっしゃったのですか?」 ミヅキと呼ばれるその人はこれからサトシの母親になる人であった。サトシがこの世界に来てからもう2週間が経っていた。その間にミヅキと言う女性がサトシの母親をすると名乗り出てくれたのだ。命を懸けてまで…。“ある計画”ために…。何故他人のために命を懸けれるのか…それはいずれ分かるでしょう。 「メドリ、彼の心…、開けてくださいね。必ず…。彼はよっぽど傷ついてるのでしょう。」 話は変わりますが…と言うとミヅキがいきなりメドリに変なことを聞く。 「で?どうなんですか?」 「ど、どうってどういうことですか?」 顔を赤くしながら言うメドリにミヅキがクスクス笑いながら言う。 「何をおっしゃるんですか?それはメドリが一番わかってるでしょう?」 顔を赤くしつつも、ミヅキの質問に頑張って答えようとする。 「えっと…その…。」 言いかけたとき、急にいろんな飾りがついてる豪華な扉が勢いよく開く。 「あの…、この世界の地図とかってありますか…?」 すごく疲れきったような声でメドリに言う。 「地図…?地図ならあるけど…?」 そういうと、部屋を出てすぐ隣にある部屋に行くと何かガサガサと音がし、隣の部屋のドアを開ける音がすると、地図を持ちすぐにこちらに戻ってくる。 「はい、この世界の地図。」
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