58人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぬあぁぁぁ!!」
妙な声とともに砂ぼこりを上げんばかりに道を走る少年。
暗めの茶髪でショートヘア。少しあどけなさのある茶色に近い黒い瞳。さらに170センチに満たない身長がさらに子供らしさをかもしだしている。
「今日入学試験だってのによ~!起きる予定の時間を一時間も過ぎちまったぁ~!」
そう言って走りながら右手で右腰付近にあるデッキが入ってるらしき黒い直方体の箱に手をかける。
手をかけた後少年の額から冷や汗が流れる。
「あっ。デッキがねぇ~!!つか、元からデッキなんてないじゃん。この辺にあるカードショップでスターターデッキ買わねぇと。」
少年はキョロキョロと辺りを見渡しながら走るとふと少年の目に入った「Card」という文字。少年は飛び込むように店に駆け込んだ。
「すいません!スターターデッキありますか?」
息を切らしハアハアと荒い呼吸をしながら店を切り盛りしているであろう60歳前後の優しい雰囲気漂うおばあさんに聞いた。
「いらっしゃいませ。スターターデッキなら一つありますけど。お兄ちゃんデュエル初めてなのかい?」
愛想良くお辞儀をした後不思議そうな表情をしながらその少年に聞く。
「今日デュエルアカデミアの実技の入学試験だってのにデッキがなくて、スターターデッキならすぐデュエルできるからさ。それください!」
少年はお金を出しながら言った。おばあさんはそれを受けとるとスターターデッキである黒い箱を手渡した。
「デュエルアカデミアの入学試験かえ?試験はこのスターターデッキで勝てるほど簡単じゃないよ。」
「なんとかいけますよ!ありがとうおばあさん!」
そう言いながら少年は店を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!