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天翔る大地。
そこは麗しの自然に彩られ、無限に放出するであろう豊かな恵に溢れている。
白く気品がある住居が建ち並び、大地の中心に向かい比例して、建築物は巨大な物となっていく。
最たるは、ドゥルガー帝国城である。
城の最上に位置する皇帝の間に、第二皇女アリシアが謁見の為に赴いていた。
腰まで届く黄金の髪。
宝玉の如く蒼い瞳。
最高の帝国軍位である元帥の地位を持つ彼女は、次期皇帝の噂が高く、ドゥルガー帝国では第一の英雄と評されていた。
「此度の戦果、余の娘として恥じぬ仕事よ。見事だったぞ、アリシアよ」
「有り難き幸せ。父上に誉れる事が、至上の喜びでございます」
アリシアは膝間づいて応えた。
「しかし、中央大陸の戦果が奮っておらぬ。暗黒スラムとやらが我等の統治の支障となっているようだな?掃討は容易にはいかぬのか?」
「はっ…。下牋な地上人にしては各々の戦闘能力が高いですが…所詮、地上世界の外れ者達です。支配下の国々と共同戦線を立てれば、掃討は容易いかと…」
「うむ…」
皇帝の返答が途切れた処で、アリシアは話を変えた。
「父上。時にサアラは…」
「フン。変わらず小鳥と戯れておるだろう。我が娘とは思えぬ矮小さよ」
闘いの中で誇りと尊厳を見出だす天上人。
皇族にして闘いから身を引いているサアラは、皇帝にとって疎ましい存在でしかなかった。
「まあ…あれも役に立つ時が来る…」
「…どういう意味でしょうか?」
「余の跡継ぎは間違い無く御主であろう。そろそろ語らねばなるまいな。この世界の黒歴史を…」
「……?」
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