哀話奏詩

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乾いた秋の日 真夜中の河原   光る星を見たんだ 一刻の絶句   飲み込んだ言葉 世界に色が付いた   閃光 開けば 瞬く間に消えた   考える前に 足が動いて   町外れから ついに隣国を越えた   追いかけている時は 痛みを忘れた   ちぎれていく景色など もはや過去の物   思い出せない約束は 徐々に無くなった   完全に見失った時 愚かさに沈んだ   生き場を失った影は 自分に戒めを作った   何者も想ふことなく これを契りとして 己を磨き生きよう   業が白く薄れるまで 百年の孤独を耐えて 己を探し走ろうと…   その姿に 涙する友が在った   彼は友がいるだけで 自分は幸福だと泣き   戻らない誓いを挙げた   自分は誰かの傘になれるよう 全てを賭けて大きな人になろう   いつか君主ができた時 全てを賭けて守ろうと   次々と誓いをたてて 今を償おうとした彼は   最後まで報われる事なく 死んでしまった   だが彼は 百年の孤独を越えて笑った   愛染傘物語
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