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「こちらに向かってきます!」
オペレーターが叫んだ。
「南2ブロック、ゲートを閉じろ!
第九大隊、北地区援護!」
長官が慌ただしく
司令を出していたその時、
「長官、大変です!」
オペレーターが
半ばヒステリックに叫んだ。
「何だ!」
「三人の姿が見えません!」
「なんだと!」
―トリートメントルーム。
そこには三人が眠っていた
空のカプセルが横たわっていた。
「歩ける?」
「うん。大丈夫。
このくらいのケガで
休んでられない」
巻き髪のあ~ちゃんは
ショートカットののっち、
ストレートヘアのかしゆかに
支えられながらケガを負った
足を引きずって歩いていた。
「だってあたしたち、
この日のために
これまで頑張ってきたんだから」
ケガはあ~ちゃんだけじゃない。
のっちもかしゆかもそれぞれ
かなり酷いケガを負っている。
「あの体では無理だ!
すぐに連れ戻…」
長官の命令を遮るように
緊急を告げるブザーが鳴った。
「大変です!
緊急ゲートが…!」
「すぐ閉鎖しろ!」
「ロックされてます!」
「長官」
その声とともに
モニターに三人の姿が
映し出された。
「勝手なマネはやめろ!
すぐ戻れ!」
長官が叫んだ。
「長官、わたしたちの使命は」
あ~ちゃんが静かに言う。
「敵を倒し、地球を守ること」
のっちが続ける。
「うむ、だが…」
長官は口ごもった。
『私たち三人は、
その指名をまっとうします』
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