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カミングアウト
相変わらず仕事仕事で久しぶりに家で二人の時間を楽しんでた 浩志がなぜかその日はいいたげな顔をしてた 気になりながらもどうかして聞き出そうとタイミングを考えてた私‥ それに気付いたのか浩志が話し始めた 自分は若い頃に遊び過ぎた事、シンナー中毒で入院した事‥ そのせいなのか自分がEDな事 私は黙って聞いていた みんな辛い過去があって「今」がある そんな事は全く問題にはならなかった ただひとつ気になったのは薬だった 中国製の‥
私は身体が心配で薬を飲んでまでセックスをしなくても‥とただ一言いってしまった 今思えばこの一言が私をみずから陥れる一言になるとも考えずに…
それからは一緒に飲んでも私には指一本触れる事がなくなった… 最初は気にしてるんだろう‥と自分に都合よく考えてあの日をさかえに背中を向けて寝る浩志が逆に可哀相に思ってた
カミングアウトから一ヶ月過ぎた頃、元々あまり会える時間がなかったからあんまり気にもしてなく久しぶりにまた家で飲んでいつもみたいに話してテレビ見てた 夜中のテレビ、その日風俗嬢の話しの番組だった 何気なくあの日から私に触れない浩志に冗談で「こんな所で遊んでんじゃないの~?」と言ってみた 馬鹿正直に笑って吹き出した浩志‥ その時にやっとハッと思い返してしまった カミングアウトから触れなかった理由‥ 簡単だった デリヘル… 私はショックだった 浩志は男で私は男の気持ちもわかろうとせずに薬飲んでまでやらないと… 言った自分が思い出された 悲しかった… 汚い汚い汚い… 頭の中をグルグルと駆け回る いつしか仕事ばかりなのに異常なほどに仕事を増やした 忘れたかった それが悪循環だとも考えず仕事ばかり増やして会う時間も減らしていってしまった 私にできるチッポケな反論だった 仕事してたらきつくて嫌な事も忘れられる… 帰って寝るだけ…また朝早くに仕事きて… 余計な事を考えずに仕事してるときだけは忘れられる…そう思って浩志の謝りたい気持ちや言葉も聞かないでいいようにまた自分から全ての事から逃げるような行動をとってしまった 裏切られ、傷ついた自分がたまらなく切なく‥悔しく‥ 好きなのに私じゃなくあんな人「風俗の人」なんかと‥と‥自分を追い詰め浩志の事も追い詰めていった‥ 話し合えばよかったはずなのに…
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