瞳に映るは…

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夜が怖い この場所に横たわる様になり 初めて感じた夜の闇の深さ 日中でさえ陽の光は届かず ただ明るさと青さを感じるだけの世界 夜になれば 水の冷たさと 何も映し出さない闇だけが 私を包み込む ──音の無い世界── 時折…… 誰かが流した物なのか 動物のイタズラなのか 私の元へと堕ちてくる白い一輪の花が、地上での幸せな時を思い出させ正気を保つ事が出来た しかし 何時になっても尽きる事のないこの命とは違い 私の心は孤独に慣れる事が出来ない 寂しさに体を掻き抱きたくとも 重い枷に縛られた手足がそれを赦さない 指先で 水底の柔らかな砂を掴んでも 隙間からスルリと逃げて虚しさばかりが募ってゆく
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