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今朝の機嫌は良かった筈なのに隣に座る男はあれから何も喋らない。
自前の社長椅子に腰を掛けているかの如く、車内で威張って座る馬鹿。
それはもう日頃の光景の様にも見えたが雰囲気が全く異なった。
「ねぇ? ……何かあったの?」
「………」
そう……シカトするのね、いいわ、もういいわよ。
見ないでって言っただけじゃない。
私のその言葉で今も口を開かない位にキレるの? キレてるわよね? 我が儘の域超えてる俺様ね! 絶対、俺様よ。
ムカついたって言えば良いじゃない、我が儘の一つや二ついつもみたいに言えば良いでしょ! シカトは一番酷いわ、存在否定よ!
「あームカつく、イラつく! あ~もう止めだ、止め! 疲れた、マジ疲れた! おい、恭華っ!」
「はいっ!」
いつもと違う物言いに動揺なんかして! 同じ様に無視してやるんじゃなかったの!? 何で出来ないの。
「何よ、苛立ってる理由言ってみなさいよ!」
「お前にも、俺にも、ムカついてる。あー面倒くさっ! 俺さ、お前に嘘付いてんの。……気付いて無かっただろ?
お前には気付かれない様にしてたんだけど俺、軟弱じゃないんだ。わりぃけど、しっかり英才教育受けてたからな。お前が俺を見下す時の顔なんて今思い出すと結構笑える……」
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