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全体合奏が終わると、みんなチョコを渡したり、もらったりした。
あたしももらい、いつも通り音楽室を出て、教室へ練習しにいく。
階段を昇ると、山内さんが泣きながら降りていった。
山内さん、どうしたんだろう?
そう疑問を抱きながら教室のある階に行くと、将が立ち尽くしていた。
あたしはそれとなく聞く。
「今の山内さんだよね? 自分の彼女泣かしちゃ駄目じゃん」
「……彼女じゃない」
将はポツリと言った。
「どういうこと?」
「お前と別れてから、誰一人とも付き合ってない。さっき渡されたんだ。チョコ。告白もされた。でも断った」
「何で?」
「お前のことが好きだから」
その言葉に、頑なになっていた心がやわらぐ感覚がした。
将……誰とも付き合ってなかったんだ。
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