第十六章

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あたしはいつもの通り、合奏が終わった後教室で大樹君と練習。 大樹君はいつもと変わらない態度で接してくれる。 「明音ちゃん。もう一回ここ吹いてみてみよう」 「うん」  あたし達は一緒に吹くけど、あたしが大樹君の演奏とズレる。 いつもならこんなにズレないのに。  大樹君が一旦吹くのをやめ、あたしもやめる。 「今日は合わないね。どうしたの?」と、大樹君はあたしの顔を覗き込む。 あたしはぱっと目を反らす。 「な、なんでもないよ。ごめんね」 「ほんとに?」 「え?」  大樹君はあたしの顔をそっと触れ、顔を近づけた。 キスしそうな距離に。 ゆっくりとどんどん距離を縮めていく。
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