222人が本棚に入れています
本棚に追加
今こうしてわかる、将への気持ち。
あたし将のことがまだ……。
その気持ちとは裏腹に、素直に将のもとへ戻れない自分がいる。
あたしが黙って考えていると、大樹君は優しく言った。
「明音ちゃん。僕の気持ちや将君の気持ちを抜きで、明音ちゃんの気持ちだけで考えてみて」
二人の気持ちを抜きで……?
あたしは……。
「もう決まったみたいだね。彼のもとへ行っておいで。……きっと待ってる」
あたしは、寂しげに笑う大樹君の手を握った。
「いつも優しくしてくれたのに、ごめんなさい。でもね、大樹君に気持ちが傾いたのは本当だよ。……そばにいてくれて、ありがとう」
あたしはそう言い残し、教室を出た。
最初のコメントを投稿しよう!