🌸リリカルなのは短編集⚡

高町なのはの憂鬱

フェイトとヴィヴィオが帰ってきたと同時になのはの悲鳴が聞こえてくる。

｢ほな、なのはちゃん逃げちゃダメや!!｣

｢で、でも～｣

ここでフェイトははやてがなのはをいじめてると判断した。

｢ちょっとはやて!!なのはに何をしてるの!?｣

｢ん？あ、フェイトちゃん。何って、ご覧の通り料理を教えてるだけやで。｣

｢ヘッ!?｣

フェイトの頭は一時的に停止した。その頭が回転し始めるまで3分の時を要した。

｢………なるほど。なのはが料理を…｣

｢うん。ヴィヴィオがいるからもう一人前のお母さんにならなくちゃな、って。｣

｢そこで私が教える事になったんや。｣

｢味は…多分大丈夫だと思うよ。｣

なのはは、決して料理が下手な訳ではない。ただ料理のバリエーションに欠けているだけだ。
そこで今回は小学生の時にヴォルゲンリッターを養ったはやてにバリエーション増加の為、自らお願いしたのだ。

｢じゃあ私、食べてみるね。｣

と言ってフェイトは今日だけで５品も作ったなのはの料理の内の一つ、青椒牛肉を口にした。
ゆっくり噛み砕き、味を確かめる。野菜の火加減、塩加減、材料のバランス、肉の風味、全てにおいて水準の遥か上の味だ。これには堪らず

｢…美味しい!!｣

の一言。

なのはがはーっと息をつく。はやてもうんうんと頷く。ヴィヴィオはフェイトが食べた青椒牛肉を口にし、

｢美味ちい!!｣

の一言。
食べてもらいたい二人に『美味しい』と言われたから何も迷う事がない。なのはの口が動く。

｢ありがとう!!｣

と。

こうしたなのはの料理問題は解決された。なのははまた一つ、大人の階段を登った。