第一章入団への恐怖

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夏7月。 俺の放ったストレートはキャッチャーのミットに触れずフェンスに突き刺さりコールドのランナーをホームに招き入れてしまった。 秋、11月。ドラフト会議。 それは野球人がとてつもない努力をしそれが認められ、認められた野球人だけが指名される場。 12球団がこの会議から来季の、もっと言えば5年後の戦いに備える、そんな場でもある。 その会議の中継を俺は学校で授業をサボって見ていた。 「あ~あ、結局高校ではストライク50球くらいしか入らなかったなぁ…」 そうつぶやくと隣にいた野球部の友達、俊が 「35球だよ…。本当に海ってなんでストライク入らなかったんだろうなぁ。」 この俊という友達。我がチームの捕手、そして俺のコントロール矯正に手を貸してくれた人物。高校からのつきあいだがこんなにいい人間はいないと思う。 「おまえストレートだけの甲子園あったら絶対甲子園で優勝できたとおもうんだけどなぁ」 俊は笑いながら言った。 悪気があるのか無いのか分からんが痛いところを突く。 がここで認めたら俺の何かが終わると思った。実際何も終わらないんだけど…
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