1# よくある導入劇

10/15
前へ
/183ページ
次へ
 ただの宝石じゃない。  かなりの大粒のラルク石がはめられた指輪だ。  ラルク石は一見、ガラスと見間違うことも少なくない。  しかし、一筋の光が虹色に分裂し反射する様は、まさに輝石中の輝石。  粒が大きいほど、その価値は上がり、場合によっては数億単位で取引も可能である。  王子の出した指輪は市場価格なら二五〇〇ぐらいだが、オークションにかければ二万オールは固い。 「いや~おにーさん話わかるねぇ」  交渉成立して、そのラルク石のはまる指輪を差し出したまま、王子はあの笑顔のまま続ける。 「もちろんですよ、危険手当込ですからね~」  噂、すこしは信用した方がいいだろうか。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加