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「けどあれからもう一カ月たったのね……。
ホントに『あいつ』は何してんのよ!?
こんなにみんなを待たせて!」
ロゼはイライラと言葉を吐き出す。
顔が凛々しいだけに、下手な男子よりその表情は怖い。
「ロゼさん、きっと『あの方』にも用事があるんですよ」
エメリアはいそいそと手を振りながら弁明したのだった。
『少年』が失踪し、一ヶ月が経った。
普段なら一ヶ月など、瞬く間に過ぎ去る時間だ。
だが今回は違った。
一ヶ月が恐ろしく長く、それこそ永遠に時間が流れないのではないかと疑問に思う程だった。
しかしそれは、エルディ達五人に限定した現象で、他の生徒には若干の変化はあったものの、特別な一ヶ月では無かった。
では、何故五人には一ヶ月が長く感じられたのか?
理由は実に明快だ。
待っていたのだ。
『彼』の、『仲間』の帰りを。
今までも、これからも―――。
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